六月の帰路

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教会で時計がチッタとなる頃、あの子はその隣で歌を歌って、誰も居ないその場所に音を響かせてた
そこにある葉っぱが散るよりも長く綺麗な高い声だったけど、
消して上手いとは言えない歌だったけど
何度も口どけが残るみたいにそんな、あたたかいスープみたいな歌
空から落っこちるみたいな風が吹いてその子は居なくなってしまったのを覚えてて
そのまま夜遅くの月明かりだけを見て海辺に帰ったのを覚えている。
その子は居ない子だって思うようになったのは
それから随分立った頃で、私がそんな話を誰かにしたこともないけれど
またあの教会に行ってみたくなった。そこには治安が悪いというか、結構暗い雰囲気が漂っていたんだけれど、気になっていつもいつも考えてしまうようになったから、行ってみることに決めたの。今日はあの頃より少し月が欠けていた。

10/13/2022, 10:27:20 AM