鐘の音が、鳴り響く。
それは、新たに家族となる二人への祝福の音。
多くの招待客からの祝いの言葉を、照れながらも嬉しそうに受けとる二人。
(あぁ…来るんじゃなかった…)
二人の結婚式を見れば、諦めがつくのではと思いながら来てはみたものの、そう簡単にこの気持ちを切り替えることは出来ないと知ってしまった。
「お、こんなところにいたのか。よく来てくれたな!」
「本当、返信がなかなか来なかったから、欠席するのかと」
「あぁ…まぁ忙しくて…ギリギリになったのは悪かった。それより、改めて、二人とも結婚おめでとう」
その言葉に、疑いも持たず、二人は笑顔で"ありがとう"と応えた。
教会に鳴り響く鐘の音は、この二人にとっては、祝福の音。
けれど、今の俺にとっては諦めろ、という残酷な現実を突き付けられた音にしか聴こえなかった。
8/5/2024, 12:11:16 PM