—人に避けられない方法、募集中—
俺は今、夢を見ている。
遠い遠い高いところから、自分を見下ろしているのだ。
学校の中の様子が鮮明に見える。
ただ廊下を歩いているだけなのに、みんなから避けられている。
「あっ、これ落としましたよ」
側を通った男子生徒が、ハンカチをポケットから落とした。俺はそれを拾って渡した。
「あ、ありがとうございます——」
ハンカチを受け取ったその男子は、そそくさに逃げ出した。
俺は気にする素振りも見せる事なく、また歩き始める。
避けられる原因はわかっている。金色の頭、鋭い瞳が原因なのだろう。髪色も目も遺伝なんだから仕方ないだろ、と思う。
だが、こんな反応をされることも、また仕方のないことだと思う。
いつものように机で寝たふりをする。
ここで夢は途切れ、布団の中で目を覚ました。
顔を洗いに洗面台に向かう。鏡に向かって笑顔を作ってみた。
「ちょっとはマシに見えるかな」
人から好かれるまではいかなくても、誰かと話せるくらいにはなりたいな、と思う。
今日も一日頑張ろう、と鏡の前で気を引き締めた。
お題:星になる
12/15/2025, 4:53:08 AM