夜歌

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 慈愛に満ちた眼差しを向ける横顔を見て、いつかその瞳に映りたいと強く思った。今まで望めば大抵のものは手に入ったからこそ、己が何かを乞い願うだなんて。全ての中心がきみを軸に回っているような、浮つきながら心地よく、それでいて不安に駆られる感覚だ。どうしたって手放したくはないと思う一方で、なんて烏滸がましい感情を抱いているのだろうと悩む日々。
 こんなにも人を好きになったのは初めてだ。このまっさらな恋慕は、まだ愛と呼ぶには拙いだろう。それでも、きみに告げてもいいだろうか? あれこれ出ない答えを考えて、格好つけたいのに空回り。きみへの想いが積もり積もって、そろそろ崩れて来そうだよ。


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本気の恋

9/13/2023, 8:55:46 AM