「8月、君に会いたい」
夏休み期間中、僕は祖母の家を訪ねることにした。
祖母が住んでいる場所は島で、なんの変哲も無い島だけどそこには――彼女がいる――。
5年前僕が小学6年生の時、祖母の家を家族で訪ねた際にある少女と出会った。少女は僕と同じ年齢で話も合ったため仲良くなった。
今回夏休みに一人ででも島に行きたいと両親に言ったのは、彼女にどうしても会いたかったから。
久しぶりに5年前祖母がいる島で撮った写真を見ていると、彼女との写真があり思いだした約束があった。
――5年後、この島に来て私とまた話して――
約束自体はそう変わったものではなかったが、その時の彼女の顔は寂しそうに見えたからだ。
普通と思うだろうが、今思い出すと儚げな笑顔だった。
そんな考え事をしていると船は島についた。
僕はまず祖母の家を訪ね、顔を見せに行った。そこには笑顔の祖母が居て
「よく来てくれたね、今日は捜しものがあるんでしょう。」
祖母は知ってるよと言いたげにニッコリと笑った。
流石祖母だ、僕のことは何でも知っている。
離れて住んでいても、僕の好物や今ハマっている事を知っていたんだ。
祖母に
「5年前僕がこの島に遊びに来た時、一人の少女と遊んでいたの覚えてる?」
と聞くと
「齋藤さんのところの子だね、ここから坂を下りて角を右に行ったところに緑の屋根の家が齋藤さんの家だよ。」
流石祖母だ、なんでも知っている。
だけどここまで知っていると逆な怖いな、何者なんだろう。そんな疑問を抱きつつ、坂を下り角を右に曲がって少し歩いたら緑の屋根が見えてきた。
そこには僕が想像していたより大きい家だった。
ドアの側にインターホンがあり、飛び出しそうな心臓をグッと左手で抑えインターホンを鳴らす。
ピンポーン……ピンポーン……
インターホンを鳴らし、1分が経った頃だった。大きいドアから鍵が開けられる音がし、怪訝な顔をした彼女の母親が出てきた。母親は僕の顔を見るやいなや花が咲いたかのように顔が明るくなった。
「あなた5年前の!うちの子と仲良くしてくれていた男の子ね!」
僕は目を見開いて口をポカンと開けた、まさか覚えられているとは思っていなかった。
そもそもかなり身長もあの頃より伸びたし、多少なりとは顔も変わったと思っていたのに。ここの島の人達は何かあるのか??
すると彼女の母親の顔は見る見るうちに暗くなっていった。
「とりあえず、あの子に会いたいわよね。」
そう言われて、彼女の部屋へと案内された時部屋の外からでも分かる音がした。
何かの、機械の音だ。
彼女の母親は僕に
「ここがあの子の部屋よ、静かにね」
そう言って彼女の部屋のドアを開けると、何かの機械に繋がれベッドに寝ている彼女がいた。
それはもう話せそうにもない、彼女の姿だった。
5年前の写真を急に見ようと思ったのも、島に一人ででも行きたいと思ったのも全部夢のせいだった。
夢にあの頃の少女が、大人になった姿で僕に言ったんだ
「ごめんね、私が約束したのに私は話せそうにないや。でも、最後に来てくれたら嬉しいな」
そんなあの時と同じ顔で言うから行かなきゃいけないと思ったんだ。
それが、こんな状態になっているとも知らずに。
それから数日後彼女は亡くなった、まるで彼女は僕が来るまで待っていたかのように。
あれから5年経った、僕はまたこの島に来ている。今日は祖母の葬式で。
祖母の葬式が終わり、僕は彼女の家近くまで来た。
あの日から5年、毎年8月は特にかのじょに会いたくなる。
そういえば、この島の人達は稀に記憶能力が良かったり特殊な夢を見たりするらしい。
そして、人の夢に入ったことがあるという者も。
きっとあの時の夢はそういうものだったんだろう。
こんにちは恋です!
今日も暑いですね~熱中症に気を付けてください。
(*⌒▽⌒*)
今日もまぁまぁ長く書いてしまったので、最後まで読むの大変だと思いますが最後まで読んでくださると嬉しいですε=ε=(ノ≧∇≦)ノ
私は最近風邪気味で苦しんでいます
筋肉痛も辛いー(´ー`)
誤字脱字があったらすむせん。
8/2/2025, 12:03:51 AM