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暗がりの中で

真っ暗な暗がりの夜道 街灯も無く
人の気配も無い真っ暗な道を二人で歩く
君と二人で.... 君の手の温もりを灯り火に
「大丈夫?」君の声を道しるべにして

早くこの暗がりから抜け出したいのに
家の明かりは、一向に見えて来ない

そうして歩いている内に思考がふと
立ち止まる。

私は、いつからこの道を歩いているんだっけ? 前を行く君に引っ張られる形で
進んでいる私 でも.... そもそも前を行く
この人は、誰だっけ?

暗がりで、はっきりとは前を行く人の姿は、見えない....

私の歩みが遅くなったのが分かったのか
私を引っ張っていた誰かが立ち止まり
「どうしたの?」と私に声を掛ける

私は、この人の声に答えられない
だって答えてしまったら今まで忘れていた
何かを思い出しそうだから....

でも足も止められ無い 引っ張られるまま
進むしかない だってこの暗がりから
早く出たいから....

私は、少しの違和感にすぐに蓋をして
君の声に答える「ううん 何でも無い」
私がそう言うと君は、安心したような
気配を残し 「そう もうすぐ着くからね」 君は何処に着くとは、私にははっきりとは言わず柔らかい声で私に話し掛けた。

私は、この暗がりの中で せめて明るい
場所に着くようにと強く願った...。

10/28/2024, 11:26:11 PM