羽衣ルイ

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神様が舞い降りてきて、こう言った

知ってるよ
君が私の家を毎日綺麗にしてくれていること

「境内の掃除は終わった?」
「終わった。だから学校行ってくるね」
「いってらっしゃい。気をつけてね」

よく学校と呼ばれるところに遊びに行くけど
いろんな事を学ぶ場所らしい
彼女も黒い板と睨めっこしてるのを見るけど
たまに寝ているのがかわいい

知ってるよ
彼女はとても信仰心が強いこと
きっとそれは私の住む家を管理する家系に生まれたから、というのもあるのだろうけど

「明日の模試がうまくいくようにお参りでもしようかなぁ…?」
「神頼みが悪いわけじゃないけど、お参りって本当は願いをしに行くんじゃなくて、神様に感謝の祈りを捧げることなんだよ?」
「へぇ…!さっすが!物知りだね!」
「そうかな?」
「ちなみにさ、神様って存在すると思う?」
「ん〜…どうだろ。習慣だから境内の掃除とかしてるけど、運がいいわけじゃないしなぁ…」

…あれ?

「神社の宮司さんの娘がそんな事言っていいの!?」
「まぁそこは信仰の自由というものがありますから!」
「まぁそうだよねぇ」

…信仰心は…!?

「もしも神様がいるなら金髪のイケメンと十字路でぶつかって恋が始まりますように!」
「なにそれww 典型的すぎるww」

知らなかった
もしかしたら私にも知らない彼女の素顔が他にもあるのかもしれない
彼女のことなら全て知ってると思ってたのに



神様を軽く貶した次の日
私は壮大に寝坊した
しかも今日は模試なのに!!

慌てて身支度を済ませて全速力でいつもの道を走る
右に曲がる交差点にさしかかった時
思い切り私は誰かとぶつかった

「っ、すいません!大丈夫で…す、か?」

ぶつかったのは金髪のイケメン
あれ
なんか
このシチュエーションって…


神様が舞い降りてきて、こう言った
「私の知らない君をもっと教えてほしいな」
「いやいやいや!それどころじゃないから!!」
「え!?」



7/27/2024, 12:20:51 PM