夜々々

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#明日、もし晴れたら


屋上いこっか。
明日いっしょに帰ろうか、って言われたかと思った。それぐらい、君は滲んだ笑顔でそう言っていた。

梅雨入りした学校の中は、吸い込んだ息もじめじめしていて酸素が深く取れなかったような気がする。学校だけじゃない。世界がそうだった。どこに行っても灰色の空がぐわりと覆い被さってくる。君はずっと前から屋上に行きたがっていたから、来る日も来る日もカーテンの隙間から太陽を探そうとして、いつもため息をついていた。

それでも天気予報はずっと傘をさしていて、とうとうしびれを切らしたんだろう。君はずっとずっと屋上に行きたがっていたし、ずっとずっと我慢をしてきていたんだよね。踏み出したくても踏み出せなかった日々から、踏み出したくても踏み出せなかった日々へ、もどかしく、ゆっくりと。
「うん」
僕は君の手を取る。隣にいるから大丈夫だって、口よりも温度で伝える。離さないように。最後までずっと君といれるように。

明日、もし晴れたら。
やっと一緒に死ねるんだね。

8/1/2023, 1:16:20 PM