ミミッキュ

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"静寂に包まれた部屋"

「……」
 今日は一日何の予定も無いので丸一日備品の点検と資料の整理に当てようと、朝から一人黙々と作業している。今は資料を《一年以内のもの》と《一年以上前のもの》に仕分けしている。
「……」
──これはこっち、これとこれはこっちで…。
 部屋に響くのは、紙を手に取る音、紙同士が擦れる音、紙を置く音に紙をめくる音。鼓膜を揺らすのはそれらの音に合わせて微かな自分の呼吸音。点検をしていた時も、作業音が部屋に響き自身の呼吸音が鼓膜を揺らした。
「……」
 一人黙々と作業に集中しているこの時間が好き。この時間だけは、目の前のものだけに向き合って頭が空っぽになるから。この時間だけは、考えすぎてぐしゃぐしゃになった頭を一旦リセットする事が出来るから。こうしていると、新しい考えがふと浮かんできたりする。こういう時間は、俺にとって大切な時間。
「……ふぅ、よし」
 ある程度の仕分けは出来た。少し休憩して、残りを仕分けしてファイリングしよう。
「んーっ、」
 伸びを一つして凝り固まった体をほぐす。背中から骨が軋む音がする。
「ほぁ…」
 ため息も一つ吐いて姿勢を正す。目線だけで時計を見ると、もう既に正午を過ぎていた。現在の時刻を確認すると、お腹から「クキュウゥ…」という控えめな音が鳴る。
──うわぁ、 どうしよ…。何かあったかなぁ…?
 ゆっくりと椅子から立ち上がり、昼食を摂りに部屋を出た。

9/29/2023, 11:11:39 AM