私の記憶では、その角を曲がると小さなアパートがあるはずだった。だけどその角を曲がってあったのは、花畑だった。私の頭の中ではまだアパートが浮かんでいて、そこで過ごした日々が巡っている。はじめての一人暮らし、彼との出会い、別れ、たくさんの夢を見て、たくさんの夢から醒めた場所。「きれいだね」幼い息子が私に言って、繋いだ手をぎゅっとする。「うん、きれいだね。行こうか」私たちは、歩き出した。
9/17/2022, 10:27:51 PM