喧嘩の理由はいつもくだらなくて、でも僕達はいつだって本気で言い争った。
それはきっと、相手が君だったから。
軽い気持ちでは、これから一緒にいられないと思ったから。
君と僕が出会って、すれ違うだけで終わらずに立ち止まったこと。
それが君であって僕だったこと。
そこにはきっと、何の意味もない。
だだ、お互いの居心地が良かっただけ。
君に嘘をついたのは、あれが初めてじゃなかった。
心は痛んだけど、君から離れるよりはマシだと思えた。
この関係がたとえ歪なものであっても、それは僕達二人だけの事情であって、誰に咎められるものじゃない。
だから君といる僕は幸せだったんだ。
君が僕を裏切った日。
マンションの駐車場で僕は吐きまくった。
この状況に立ち向かえる、新しい自分が姿を見せるまで。
だけど、少しだけ顔を見せたそいつも、次の日には君を求めて彷徨い続けていた。
まるで、これがお前の正体だと言わんばかりに。
君と僕。
夕暮れと月光のように。
熱量は違えど、作り出す空間の切なさに惹かれた。
言い争い、寄り添い、騙し合い。
そんな二人の幸せは、他人から見れば偽物だったけど、あんなに居心地のいい場所は他になかった。
君といられたら幸せだって言ったろ。
裏切られても君と同じ空に浮かぶんだ。
悲しい世界を照らして、もう一度立ち止まれる日を待つよ。
それまでは歩き続けて。
君を求めて彷徨い続ける。
4/12/2025, 1:45:26 AM