黄桜

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昔、人に裏切られる経験をしてから本心を話すのが怖くなった。その影響か、人と対話をする時の殆どに嘘が混じるようになった。仲の良い友達や家族、学校の教職員や心理カウンセラーにも本心を話はしなかった。ただ、嘘にも限界はある。そんな時は、少しだけ本心を混ぜ込んで嘘をついた。すると、周りは打ち解けてくれていると勘違いするようになった。私は、嘘を魔法の様に感じていた。
そしていつからだったか、自分自身にも嘘をつくようになった。他者からの言葉に傷ついても、気のせいだと言い聞かせる嘘をこころに刷り込んだ、身体が鉛のように重く感じても、今だけだという嘘を心に刷り込んだ。けれど、嘘が私を守ってくれることはなかった。その事を自覚してから、あれほど、信じていた嘘に嫌悪感を覚えるようになった。私は精神的に疲弊することが多くなり、眠っている時間の方が長くなった。
目を開くと、私は椅子に座っており、手には鈍く光を放つナイフがあった。私は無意識にその手のナイフを首に添えて思い切り引いた。

夢だから、もう終わりにしよう。

お終い

7/15/2023, 10:33:27 AM