せつか

Open App

この国の平均寿命の半分近くの人生を消費してきて、それを一言で表すとしたらコレになると思う。

〝バカみたい〟

いわゆる真面目な方だったと思う。
先生にタメ口をきく事もなく、制服のスカートの丈をいじることも、髪を染めることもなく、嫌いな学校行事も我慢して参加した。

卒業時の記憶はほとんどない。
中学の友人は顔も思い出せないし、ただ一人の親友以外、高校の同級生がどうなったかも知らない。

高校での就職活動はことごとく失敗した。
面接では趣味は絵を描くことと話したら「でくのぼうみたいなのか」とバカにされた。
そうして就職は諦めて専門学校に行ったがそこでもうまくいかず、結局非正規でなんとか生きている。

「万引きして親に怒られた」と言っていた二つ年下の近所の男は高校卒業後、無事に正社員になったらしい。「なんだそれ」と思った。
上手く立ち回れる人間、というのはどこにもいる。
そういう話を見聞きするたびに自分の人生を振り返り、「バカみたい」と思う。

それでも自分の性格を、考え方を、生活習慣を変えられないのだから、やっぱり「バカみたい」なんだろう。


END

「バカみたい」

3/22/2024, 11:17:53 PM