或る本の巣、模写。

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3分で眠れると謳っているBGMにお世話になっている。

カーテンの遮光が甘いせいで車の反射光が天井を走る。目をつむると心臓の音が気になってしまうから、適当な瞬きを繰り返しながら睡魔が来るのを待っている。

イヤホンは右耳だけ。横寝の癖が抜けなくて左側を下にして寝る。



痛かったのは一瞬だけだった。



指でなぞりながら呟く。




「イヤーロブ、トラガス、ヘリックス……」

冬の大三角は覚えていないのに、と笑えてくる。

過去はつめたい夜にさらされて、みぞおちにグサと刺さった。この氷塊が溶けるまでにはまだ時間が必要だろう。

さすり、さすり。

BGMはいつの間にか止まっている。
私は、夜を越してゆく。


【ピアス】


結局まだまだダメなのだ。忘れたいと思っているうちはそれが呪いになっていて、忘れられなくなっている。

お揃いの場所に開けたピアスはもう埋めてしまいたいのに、自分にはよく似合っている、そう思いたくて、未練がましくも残している。

体の習慣をなくしていかないと同じ夜を継続することになるだろうに、気が付かないふりをしているのかもしれない。

1/17/2026, 5:19:28 PM