「えっと、ここは…」
見たことはあるけど読んだことがない文字と開いた本を交互に眺めては同じ形を探す。正解を見つけては丸を付け、意味を書き、他の使い方があれば付け足していった。見れども見れども記号が文字として結びつかず首を捻る。自国の文字はこんなにも読めるし、話せて、組み合わせて文章を作ることだってできるのに。
手探りで学んでいるつもりが彼の故郷の吹雪にあったみたいに道が見えない。
言葉に触れた経験が少なく、足りないのは明らか。
彼の母国をもっと知りたくて、はじめに言語からと教本を手に取った。
たまに彼の口からこぼれる言葉が何を意味してるのか知るにはちょうど良いと思ったけど…。それがわかるまではまだまだ先のよう。そもそも発音すらままならなかった。
『0からの』挑戦は新しい発見と驚きを、無駄になるなんてことはないものの早く理解したくて使ってみたくて。
いつか手紙や話した時にそれを披露して彼を驚かせることを目標に、彼の故郷の歌を噛み砕きながら翻訳してペンを走らせる。歌の旋律を知らない私は言葉の意味から捉えたイメージだけで口ずさみ、少しだけものにしたに気になっていた。
2/22/2023, 3:35:16 AM