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飛べない翼

「あんたは駄目な子だねぇ」
ずっと前に、母さんから言われた言葉が
ずっと俺の心を抉りつづける
小さい頃から、俺は何も出来なくて。
全てを持ってる周りが、羨ましかった。
昔、本を読んだことがある。
ある1人の天使は、翼が小さく、成長した後も
一度も飛べなかった
そんな話だった。周りの天使は助けることなく、
その1人の天使をずっといじめていた。
俺は間違いなく……その1人の天使だ。
誰からも気にされることなく、蔑まれ、
一生嘲笑い続けるんだろう。
でもその話には続きがある。
大人になった天使は、ある日周りにいた天使たちに
またいじめられていた。
でも、そこにきた美しい1人の天使が言ったのだ。
「そんなことして、バカみたい。
自分の心の不満を、他人にぶつけるな!
ずっと空飛んで遊んでるお前らより、人のために助けてるこの子の方が何百倍もいい人だよ!」
……あぁ、なんて美しいんだ。美しい君は、
「気にしなくて良いんだよ。飛べなくたって、
誰かがあなたを必要としてる。あなたにしかできないことがある。あなたはあなたのまま、好きに生きて良いんだよ。」
その話を読み終わった後、俺の頬を何かが伝った。
俺が、俺らしく生きていてもいいんだって
その時初めて覚えた。
俺は、何も出来ない。今も、ずっとあの言葉が
俺の心に深い傷をつけている。
でも、まだ信じても良いのなら。
俺は、俺らしく。好きに生きるよ。

11/11/2023, 10:24:39 AM