『好きだよ』
今にも眠りにつきそうな中、私は好きな人と電話をしていた。眠いのは相手も同じようで、さすがにもう寝ようか、と声をかけた。
「ねえ」
その寝ぼけたような声で呼ばれる。私も「なあに」と馬鹿みたいな声をあげる。
「好きだよ」
その言葉は、寝言なのかな。私は返事に困って黙り込んでしまった。嬉しい。本当に嬉しい。でも、そんな素直に受けとってもいいのかわからなかった。私の動いていない頭が生み出した幻聴かもしれない。罰ゲームか何かで言わされただけかもしれない。
「ほんとに好き、」
「……あのさ」
彼の眠たそうな言葉を、本物にしてやりたかった。
「次、会った時。もっかい言ってよ、好きだよって」
彼は笑いながら「もちろん」と言っていた。私は夢なのではないかと思って思い切り頬をつねった。久しぶりに痛い思いをした。
4/5/2025, 1:37:22 PM