2023/2/9
「笑って笑って~。スマ~イル。」
写真屋のお姉さんが人形や玩具を駆使し何とか私を笑わそうとしている。しかし元々へそ曲がりの私は頑として笑わない。というか面白くもないのに笑えない。それを見ている両親は頭や胃の辺りを押さえている。痛いのだろう。そんな私に対し職人魂というか商売魂という物に火が付いたお姉さんがあの手この手と繰り出してくる。何とも引き出しの多い人だ。プロ根性が凄まじい。
笑えない。笑えない。もうここまで来たら意地でも笑うつもりはない。更に口をへの字に曲げガンを飛ばす。最早5歳児とは思えない形相になってしまった。最終的にこの形相で七五三の記念撮影は終了した。勿論両親は平謝り。後に、
「あれは悪鬼のようだった。」
「天邪鬼ってあんな顔だろうな。」
と語り草になった。
2/9/2023, 8:41:55 AM