その日は、学校で友だちの咲と喧嘩した。わたしは悪くなかったと思う。咲がテストの点数のことで八つ当たりしてきた。まあ、いつもわたしの方が負けてたのに、合計点数、勝っちゃったんだよね。
大切な友だちもこうして失うのかなあ、と思うと、とても辛いものが込み上げてきた。でも、じゃあ、先と仲が良いためにはずっと先に負けていないといけないのかな? ばかばかしいよ。
わたしは、いつもは素通りする雑貨店に入った。こんなことをするのはたぶん頭が混乱しているのだ。行動もチグハグになってる。
食器や化粧品や帽子、エプロン、文房具まで置いてる。ざっと見ていると、アロマキャンドルのコーナーを見つけた。あ、これで、今日の夜、自分を癒そう〜、とちょっと気持ちが上向いた。
家に帰り、夜、お風呂に入って部屋に籠ると、早速、アロマキャンドル。火をつけるのがなくて、部屋を出て、お母さんに聞くと、台所の奥の奥からマッチとかいうのをくれた。付け方がわかんないので、それを擦ってもらい、持ってきていたキャンドルに火を移してもらった。
匂いはあまりしなかった。高いものではないからかな。でも、細い楕円の炎をみているのは、なんだか心が落ち着く。癒しだ。
と、スマホが鳴った。あー、雰囲気が。無造作に出ると、咲だった。
「今日は、ごめん……」
わたしは、こんど一緒にアロマキャンドルで癒されよう、と答えた。
11/19/2024, 10:32:22 AM