海月

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昨夜、夢を見た。
12月、3限目、理科、テスト返し。
その時のテスト範囲はちょうど物理で、
計算が苦手な私にとっては地獄だった。
もともと根っからの文系で、興味のあった化学や生物、地学はなんとか点数が取れていたものの、
物理だけはどうしてもできなくて。
毎回学年20位までには入っていたのだけれど、
その時ばかりは平均点ギリギリだった。
先生のことが好きになってからは、先生に「私」という
存在を知ってもらおうと必死で勉強した。
ああ、やっぱりダメだったか。
そう落ち込んで窓の外へ目を向けた時だった。
まるで私がそちらを向くのを分かっていたように、
先生が目の前に立っていた。
「今回振るわんかったね、難しかった?分からんとこ俺が教えちゃるばい」
夢かと思った。
いやまあ今私は夢でこの情景を思い出しているから、
あながち間違ってはいないのだけれど。
とにかく、
先生に個別に話しかけられたのなんて初めてで。
ひどくあがり症の私はぐるぐる頭を働かせたけれど、
その時なんて言ったか鮮明には思い出せない。
とにかく、計算が苦手で何回やっても毎回答えが変わるんですよね、みたいなことは言ったような気がする。
「ありゃりゃ、そら大変やったね笑 放課後時間あるなら俺んとこおいで。計算の特訓するばい」
その時の優しい先生の顔は今でも忘れられない。
40人もいる教室の中で、先生だけが輝いて見えた。
それまで他の生徒にそんな事を言っているのは
聞いたことがなかったし、
クラス1先生に質問する生徒会長も授業の余った時間に教えてもらうだけで、個別に先生に教えてもらったことは無いと言っていた。
ほんのちょっとだけ、
先生にとっての特別な存在になれていたのかな。
残念ながら今年は先生が教科担当ではなかったから、
分からないままだけれど。

3/23/2023, 11:42:20 AM