「愛と恋の違いは?」
「恋人でもできたの?」
唐突な質問を持ちかけた友人は、目の前でオレンジジュースをかき混ぜている。氷がぶつかり合う音が、カラカラ。私の逆質問に、友人はあっけらかんと答えた。
「いや?別に、気になっただけ」
「あ、そう」
「で、愛と恋の違いは?」
逃げることはできないようだ。私は脳内の引き出しを片っ端から開ける。解答模索中。捻り出した答えは以下の通り。
「愛は無限、恋は有限」
「へー、そういうものなんだ」
友人はうんうんと頷く。しつこく聞いてきた割にはあっさりしたリアクションだ。拍子抜け。
よし、これでこの話題は終わりだ。と言うように私はコーヒーカップに口をつけたのだが、
「じゃあ、恋が無限に近くなっていったら、愛になるかなぁ?」
カラカラカラ。氷の音が大きくなる。友人の大きな目がこちらを見る。カップからじんわりと熱が広がる。目を逸らして、私は呟いた。
「なるんじゃない、難しいと思うけど」
「……そういうものかぁ」
少しの間の後、友人はにっこり微笑んだ。
「んじゃ、頑張ってみる!」
何を?
とは聞けなかった。純粋な友人の目は、どこまでもまっすぐ、こちらを射抜いていたから。
愛−恋。
この差を埋めてやるんだ。
あの子の目は確かにそう言っていた。
10/16/2025, 5:11:29 AM