香魅夜

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【どこにも書けないこと】


いつか、会えると思っていた。
そんな理想の彼氏。

私は、男性とも「友だち」みたいにつきあってしまうから、
後になってから「あの人、特別だったんだな」ってきづく。

そんな「特別」な中でも、彼は別格だった。
会社で、新しい仕事の先輩として出会い、
最初は緊張して、話し言葉は敬語。
そのうち、向こうからも「これ出来ない?」って
頼まれたり、私も苦手なことは教わったりして。

いつの間にか、対等な立場に。

誕生日は数日違い。
星座、血液型は一緒。
更には趣味まで共通点が多くて、びっくりした。

「特別」

だったんだ。
気づいた時はもう遅かった。
出向先が変わって、私は傷病休暇で会社を休んで。

いつ、自分のスマホから連絡先が消えたのか。

あんな人、二度と会えないと思う。
住んでいる場所は知っているから、
会いに行くことは可能だけど、多分行かない。
もう、会わなくなってから20年。
20年あっても、あの人みたいな相手、いなかった。

もし、勇気を出して思いを伝えていたら、
どうなっていただろう。

そんなことも考えることもあるけど。
職場では、彼と私が話していると

「夫婦漫才みてぇ」

って笑われたっけ。
実際、話していると楽しかった。

ねぇ、今でも少しは私のことを憶えている?




2/8/2024, 2:29:59 AM