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もし晴れたら、明日は遠回りしよう。ひっくり返ったカナブンがいたら、そいつを助けてやろう。朝のまだ少しひんやりした空気をめいっぱい吸って、鼻歌を歌う。夏休みといったら虫取り!元気に駆け回る子どもたちを横目に見ながら、僕は部活に向かおう。…そうだ!部活が終わったら、寄り道してラムネでも買おう!懐かしいな、こうやってあいつらと一緒に歩いたな。ザリガニ釣りに行ったな。なんやかんや楽しい記憶ばっかだな!…そういえば、一時期話さない時期があったな。あの日は、寒い冬の日だったかな…。夏の空気は、色んな記憶が呼び起こされる。図鑑を開いたように、僕の脳に鮮明に映る。そのどれもが、僕にとっては大切な思い出である。大人になって、いつか、あいつらと疎遠になっても思い出すことがあるのだろうか。少し悲しい気持ちになる。離れたくない。今だけ楽しもう。あいつらとたくさん馬鹿なことやって、笑い合おう。僕は人の顔と名前を覚えるのが苦手だから、覚えてないかもしれないな!と無理矢理呟いて、込み上げてきたものと感情を押し殺す。見知った後ろ姿に向かって声をかける。
「先輩、おはようございます」

8/1/2023, 10:51:32 AM