紺色

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行かないでって、泣いた日に。

行きたくないって、泣いた日に。

お母さんは容赦なく、私たちを引き剥がした。

「またいつか、絶対会おうね」って。

連絡先も、住所だって、なにも知らなかったのに。

偶然って言うのに、期待して。

奇跡っていうのに、期待して。

遠く遠く離れた街で、ただただずっと、想ってた。

就活して、就職して、それなりに良い生活をおくって。

そこそこの、小さい家も買って。

変な模様の、可愛い可愛いペットを買って。

お互いが、忘れるくらい時が流れて。

でも、会えたんだ。

分かったんだ。

こんなところで生きてたんだねって。

何年経っても、面影があった。

灰色のスーツで身をまとって、少しやつれた中年男性がそこにいた。

「久しぶりだね」

「久しぶり」

短い言葉を交わして、でも、それ以上の干渉もしないで。

あの時あった、儚い感情はもうとっくに消え去ってたけど。

どうか、友達として。

盟友として。

貴方の幸せを願っていたい。

またどこかで、その時は、お茶でも飲もうか。



                              またいつか

こんにちは!

読んで下さりありがとうございました。

覚えてくださっている方はいらっしゃいますか?

7/22/2025, 10:44:52 AM