よつは

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『澄んだ瞳』
翔真
ガキの頃から好きになる奴の条件は決まってた。それが満ちてりゃ女も男もどっちでも良かった。
「翔真〜私とかーえろっ!」
翔真の腕にしがみついてきた少女は花梨。どうにも翔真の事が好きらしい。
「花梨、離れろ、あちぃ」
そう言って引き離そうとすると更にしがみついてくる。
うざってぇと思いながらも俺は普通の男を演じた。
「いいから離れろ」
「え〜、げ、あいつ…」
花梨があいつ、と言って一方向を見つめた。目線の先に居たのは目を前髪で隠され、明らかにダボダボなYシャツを纏った青年が本を抱えて歩いていた。
その瞬間、翔真はこころを打たれたように彼に釘付けになった。「俺の理想じゃねぇか…」ぼそっと呟き、目で追った。
「ん?翔真何か言った?」
「いや?何でも無ぇ」
(あいつ、俺の想像そのものじゃねぇか。誰だ…聞いてみるか)
「なぁ、あいつ誰だ?」
自然に、違和感なく、聞いた。
「え、翔真知らないの?紅葉だよ、篠生紅葉。先週、私に告って来た奴だよほんっといい迷惑アンタみたいな陰キャ、微塵も興味無いっつーの!」
「あぁ…」(篠生紅葉…か、仲良くなっときてぇな)


紅葉
小さい頃から巻き込まれ体質って奴だった。駅の人混みで足を取られて知らないところに着いたり、委員会でなぜか違う委員会員と間違えられて最後まで仕事しちゃって当分気づかれなかったり…なんてまだ甘い方。
でも流石に、ちら…
ジーーーーー… バッッッッ!!!
クラス1の陽キャ、矢附翔真に壁ドンされるなんて思わなくない!?僕は何かした!!??
「あ、あの…「お前、女いんの?」「なっなんでッッッですかッッッッッ!」
説明面倒くせぇ押し倒してやっちまいてぇ。けど、こいつ細すぎだろ折っちまうぞこんなん…
まぁでも、
紅葉の顔を掴み、覗き込む。
「お前の目、良いな」
澄んだ瞳が美しく輝く。俺だけの物にてぇな。

7/30/2023, 12:20:52 PM