終わり、また始まる
背筋にゾクリと寒気がした。
見上げると、急速に不吉な色に染まっていく空に禍々しい巨大宇宙船が浮かんでいる。
そのことが示す意味を悟って一瞬フリーズする。
通信機の警報音で我に返り、家族に連絡を取ろうとするが通じない。
私の知らないところで何かが終わり、また始まったのだ。
かつて地球がエイリアンに適した環境に変えられてしまった時のように。宇宙に逃げ延びた人類がこの星で細々と積み重ねてきた歴史は終わり、これからはエイリアンのための歴史が始まるのだろう。
脱出ポッドで宇宙へ逃げたとして、その先に何があるのか。
もうこの世界に人類が安心して暮らせる場所はないのかもしれない。
絶望で動けなくなりそうな身体を無理やり動かして家族がいるはずの場所を目指した。
3/15/2025, 8:41:26 AM