はた織

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 梅雨を飛ばす炎風よ、お前が涼やかな音を立てて鳴くなら、私の袖に入ってもいいよ。初めて買った私の青い着物に袖の羽風を吹かしておくれ。それでも熱風に荒れ狂って頭を冷やせないのなら、柳の葉を揺らしてよ。松濤ならぬ柳濤を私に聞かせておくれ。焼津神社で涼んだあの時の柳の影が忘れられないのさ。そんなにも蛇にも竜にも似た鈍色の鱗を熱くぎらつかせるなら、人魚の鱗の如く柳も真珠色に輝かせるだろう。それが出来ぬなら、生命遍く塵芥に帰する瑠璃色の炎を迅く吐け。
                  (250704 青い風)

7/4/2025, 1:02:17 PM