「 」
は?
いや、そもそも
「おーい。おまたせー…って!え!どうしたの?!」
「よ。めずらしく早いね。これ?濡れてんだよ。」
「ちょ、ちょっとまって…ハンカチ、ティッシュ…」
「ああこれ水じゃなくてレモネードだから触ったらベタつくよ。気にしないで。」
「そんなわけにいかない!はい!とりあえず頭と顔を拭いて早く行こ。シャワー貸してもらおうよ。」
「…わかった。ありがと。あのさ、聞いてほしい。」
僕には付き合っている人がいるわけで。その人は特別。
それ以外の人間はそれ以上でもそれ以下でもない。
だから普通にしているだけ。
なのにさあの女ときたらこんなことぬかしやがって。
そして僕はこうなった。訳わかんないんだけど。
「…期待させないで、とか?」
「言ったよ。恋人いるって。」
「えと、ええと…。」
「聞いてほしかっただけだよ。別に何か言ってほしいわけじゃないから。」
「ええ…じゃあ、あの…スマホ無事で良かったね…。」
「まあね。」
「いや、その前に熱いコーヒーとかじゃなくて良かったね…やけどしたら大変、だし…。」
「そうだね。」
こいつ、うーんうーんってずっと悩んでる。無い頭をひねって僕を慰めようとしてくれてる。いいよ。いらない。
「僕は優しくされたい。いろんな人に。」
「…うん。私も。」
「あの女。たとえば僕が冷たくしたところで満足するの。しないだろ。それはそれでキレるんだろうな。」
「…うん。」
「あーあ。体冷えてきた。早くシャワー借りたい。」
「さっきあなたのハニーに連絡したから。すぐシャワー使えるって。あ、寒いなら私の上着着る?」
「嫌だよそんな派手で馬鹿みたいな服。お前ぐらいしか似合わないよ。」
「人が親切で言ってるのに!もー!」
僕は君に優しくしたつもりはないけど。
勝手な妄想で悲劇のヒロインになって楽しい?
君さ、自分のこと大好きだね。幸せそうでなにより。
優しくしないで
5/3/2024, 3:11:40 AM