太陽の光が今日も大地に暖かな日差しを与えている。暑くなく、でも寒くもない。そんなちょうどいい温度が今日もまた続いている。
こんな天気に外でピアノを弾くのはとても心地よいもので、今日も僕は元気にピアノを弾いていた。
そんなことがやけに印象的に残ったのか、彼女は僕のことを『演奏者』なんて呼ぶようになって。僕はそれに対して否定も肯定もせずに、好きに呼ばせている。
「演奏者くん」
彼女から肩を叩かれながら声がかかって、ピアノを弾く手を止めて後ろを振り向くと、頬に指が刺さった。
「…………?」
「ひっかかった〜」
何の話だか全く検討もつかないが、今まで見たことの無い程の明るい笑顔に僕はあっけに取られてしまった。
屈託のない、まるで太陽みたいな綺麗な笑顔。
「演奏者くんの隙をついちゃいました〜」
そんなふうに言う姿は『権力者』と名乗った時とはまた違って、なんだか無邪気な子供のようだった。
8/6/2024, 11:05:08 AM