るに

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死んだ方がマシなくらい寒い中、
膝下まである雪をかき分けて
私はここにいると言うように
スキーをする少女がいた。
少女に憧れ
スキーの訓練を申し込んだ者は最後、
少女の速さに
技術に
教え方についていけず、
雪に頭を突っ込んで終わり。
右に出る者はいないと思われたが
実は昔はスキーチームに所属していて
少女が1番落ちこぼれで
雪に突っ込んでばかりだった。
ある日リフトの事故で
6人中5人が意識不明の重体、
1人は軽傷だった。
リフトから落ちた時、
5人全員が少女の元へと滑り
急な斜面から引き離したのだ。
引き離した反動で
5人は少女と離れ
直後に雪崩が5人を襲ったのだった。
少女が起きた時
いつも溜まっていた宿舎が
静かな夜明けに飲み込まれているのを見て、
もし
少女が人並みに滑れていれば
6人で急いで斜面を滑り降りたら
助かったかもしれなかった。
そんな考えが少女の頭の中を駆け巡り
鬼のような特訓を積み
ようやく得た技術だった。
努力の天才は
きっとこの先人を助けるだろう。
そしてきっと
5人に縛られて生きていく。
その事は少女もわかっていた。
"Good Midnight!"
夜、いつも思う。
いつか少女を止めてくれる人が
現れてくれると信じることを。

2/7/2025, 9:18:12 AM