四季島

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静寂に包まれた部屋で、愛をかわす。




俺は、もう一年近くあいつの笑顔を見たことがない。
それもそのはずだ。
あいつは、ショックで魂のない脱け殻みたいな状態になっているのだから。
そのショックとは、親の死である。

いつかは、誰しもあの世へ旅立つが、あいつ『ミカ』両親の死は早すぎた。

交通事故だった。

それから一年間ずっと、部屋にとじ込もってミカは現実を受け入れない日々を送っていた。

困り果てるミカの祖母。
幼なじみの俺はそれを見かねてミカの家を訪ねることが増えていった。

『ミカ、夜ご飯置いとくぞ』

そういうといつも帰ってくる言葉は。

『うっさいバカ、早く帰れ!』

そういう日々が、続いていた。そんなある日、いつものようにミカの祖母が作るご飯をミカのもとへ持っていこうとした時の事だった。

ミカの祖母が勢いよく倒れた。
『おい、大丈夫ですか?救急車呼ばなきゃ!』
ミカも何事かと珍しく部屋から出てくる。

自分の祖母が倒れている姿を見て、呆然とするミカ。

しばらくして、救急車がやってきた。
運ばれる祖母を見て、涙を流すミカ。

病院に行き着く前に、ミカの祖母は息を引き取ったとの知らせが入る。
すると、ミカは、自分の部屋に走り去った。
泣き声が、聴こえてくる。
たった一人の家族がいなくなったんだ。
悲しいに決まってる。

俺は、なんて声をかけるべきかわからなかった。そっとしとくべきか。迷った。でも、ミカの祖母から言われたことを俺なりに今からミカに伝える。

ミカの部屋の前に着いた。少しドアが半開きだった。

『ミカ入るよ』
そう言って、中に入る。
すると、泣き止んだ、ミカの姿があった。
ミカが、俺に抱き付いてきて言うのだ。
『独りぼっちになっちゃた。怖いよ!』
俺は、その言葉を聞いてミカに言うのだった。
『俺がいるよ。あのさ、俺、ミカのばあちゃんからミカのこと頼まれたんだ。何かあっても、守りきれってだから俺なりにお前を守る』
ミカは、顔を赤くさせ。
『それって、告白してんの?』
俺は。
『こんな俺、ダメかな?』

そう言うと、ミカは黙って、俺にキスをした。





『俺らは、この後静寂に包まれた部屋で、愛を交わした。』

9/29/2022, 11:16:06 AM