死にたい少年と、その相棒

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  /無色の世界

この世界には無色の膜が張られている。
僕と、世界を分ける透明の膜だ。

僕には見えない世界を、みんな見ている。何が見えているのか分からないけれど、その世界はどうやら、とても楽しいらしい。
僕にはとても理解ができない。僕には、世界が酸化して見える。
そんな世界に色と輝きをくれるのが、彼だ。彼といるのは楽しい。彼といると、死のうと思う気持ちが和らぐ。
僕は、それが苦しくて仕方がない。
苦しい生を引き伸ばす意味がわからない。早く死んでしまいたいのに、いつも彼が邪魔をする。
彼は僕に生きる意味を与えようとしているらしい。余計なお世話だと言うのに、時折それに安心感を覚える。

おかしな話だ。
けれど、みんなはこの安心感を幸せと呼ぶのかもしれない。

4/18/2023, 10:56:47 AM