白糸馨月

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お題『明日に向かって歩く、でも』

 ここ何年、いつもと変わらぬ日常が流れている。はたから見れば私の様子は『普通』に見えているだろう、多分。
 だけど、大切な親友だったあの子のことだけはずっと覚えている。つらい学校生活、二人で乗り切ろうって手を取り合ってたのに、ある日突然手紙を遺して学校の屋上から飛び降りた彼女のことを。
 本当は今もずっと後悔してるし、なんでもっと守れなかったんだろう、と罪悪感に震えることがある。
 あれから弱かった私は、生きられなかった彼女の分まで強くなろうと、自分を害する存在には徹底的に先生を巻き込んで対抗するようになったし、極力自分の精神に負担をかけないように常識の範囲で「いやなこと」は「いや」と言うようにした。これらの積み重ねで強くなったつもりだ。前を向いて歩いて行けている。
 だけど、命日が近づくたび彼女の存在を思い出して夜、自分も死にたくなるほど気分がふさぎこんでしまうことがある。それだけは許されて欲しい。

1/20/2025, 11:43:22 PM