ゆかぽんたす

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「変わらないものなんて、ないよね」
弱々しく君が呟いた。続けて深いため息をゆっくりと吐く。もう疲れちゃったな。誰に言うわけでもない独り言を発して、ようやく僕を見た君の目は涙が溢れていた。
「私、何がいけなかったんだろ」
その答えを僕が知る由もない。だからこれも君の独り言なのだろう。でも、それにしたって僕に向ける視線が強くないか。僕に答えを求めているのか。だとするならば、僕はこう言う。
「君は何も悪くない」 
涙の引き金を引く言葉だった。我慢を忘れた君は嗚咽を漏らしながら両目から涙を流す。泣くことは悪いことじゃない。これで少しでも君の気持ちが晴れるなら、僕は君の泣き顔を気が済むまで見守るよ。

変わらないものはない。君の言うとおりだと思う。でも、“変わらないものもある”のも事実だと思う。君は後者が、愛であれば良いのにって思ったんだろう。だけどアイツは君じゃなく別の女の子を選んだ。君の直向きな気持ちがアイツには届かなかった。冷たい言い方だけど、それ以上でも以下でもない。
人の感情なんて、目に見えないからこそ変化の区別のしようがない。アイツが君を選ばなかったことを責める権利は誰にもない。なら僕が君の肩を抱く権利はあるのだろうか。それを決めるのは、君だ。
「変わらないものもあるよ」
僕が君に向けていた思いはもう何年も変わっちゃいない。いつか君が受け取ってくれたらいいな。そんなふうに思っていたら片思い期間はこんなにも記録更新してしまったよ。そろそろ、告げてもいいだろうか。弱っている君につけ込んでいるみたいで多少は申し訳ないのだけど。

変わらないものもあるってこと、証明したいんだ。

12/27/2023, 9:18:28 AM