野田

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~2作品~




潮の香りがするバス停から少し歩き石階段を登った先には、樹齢何年だろうかと思うような立派な松が生い茂り、そこを抜けるとまるで別世界のように広がる青い海。

腰をおろし広がる青と白を眺めながら、打ち寄せる波の音を聴いた。

遥か昔より、何も変わらない景色だろう、しかし彼方に見える船影のみが現代である事を教えてくれる。

ゆっくりと流れる船は何処へ行くのだろうか?

この波は何処から来たのだろうか?

どれほどそこにいたのだろうか、気がついた頃には赤く染まり出した景色を名残惜しく思いながら歩き出した。


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子供だった頃の記憶は年を重ねるごとにだんだんと少なくなってしまうものだ。

そして大人が子供だった頃は何を考え何を感じていたのか?

私は幼い頃、強く思った事を覚えている。

早く大人になりたい

それを強く願った。

そんな事を言う私に祖母は

「みんないつかは大人になるから大丈夫よ」

と笑いながら幼い私を膝に乗せてくれた


しかし、幼い頃の私が大人になった今そんな思いは真逆になっている

今では全てが懐かしい

夕方友達と別れ家に向かう道で嗅いだカレーの香りや、家族と共にした祖母と母の手料理

父のおおきな背中を洗い、ゴツゴツとした指で洗われた頭の感覚

祖父の布団のぬくもり

変わらないものはない、時の流れで全てが皆等しく変化し、大好きな祖父母は天へと登り、大きかった父の背中はいつしか小さく感じ、母はいつからかおばあちゃんとなっていた

しかし、唯一変わらない物があるとしたなら家族を思う気持ちだろう


12/26/2023, 1:33:57 PM