しろ

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「やさしい嘘」

その日、私は初恋の人とコーヒを飲んでいた。
ベンチに並んで座って。

ふと、あの街に行きたいな、って私が言った。彼はその街に住んでて詳しいのである。

いわゆるデートスポット的なとこで、その予定は計画すらされないことは私には分かっていた。

いつか案内するよ、
ほんと?嬉しい

彼は優しい嘘をついた

私も優しい嘘だと分かってても心底喜んで頬を赤らめた

いくつになっても、彼の前ではタイムスリップしてしまう

初めて言葉を交わしたその日に

いつか、私は1人で回ってみようと思う。その街を。

そして、成せなかった思いを成仏させるのだ。

そしたら、きっと、
私は、今度こそ、本当のさよならができるから。

1/24/2025, 10:59:37 AM