「吹き抜ける風」
色々と、苦しい事があっても
窓を開けると
風が私の隙間を吹き抜けて行く。
ひらひらと
その風に乗って舞う
隣の家の楓の葉が
私の足元に届き、
拾いあげると
その美しい赤色が
少しだけ苦しみが和らいだ。
あの日、彼女と最後に見た夕日の色
いつもと変わらず
側居てくれた彼女の横顔。
私の視線に気付いて
短く鳴く声が、恋しい。
私の中の記憶が、
彼女が居た時の空気を熱を
景色と共に
思い出させてくれる。
ただ、苦しいと俯いていては
彼女が側に居てくれている事も
短く鳴く声にも
気付けない。
私、楓の葉を手放して
また、風に乗って舞って行くのを
見届けた。
11/19/2025, 1:35:02 PM