再生可能人間

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夏休みの不思議な話

「今日から、お婆ちゃん家行こうか。」
『えっ。』
美月はアイスを食べながら宿題してたので、お母さんに突然言われてびっくりしてしまった。
「嫌?」
お母さんは眉を八の字にして悲しそうな顔を一瞬した。
『ううん!寧ろ行きたいって思ってたから!』
美月はお母さんの顔を見て了承した。
こうして美月とお母さんはお婆ちゃん家に行くため少し遠くに行くことになった。

-そして今、お婆ちゃん家の縁側で、美月はお婆ちゃんの京子婆ちゃんとある話をしていた。

『京子婆ちゃん!なんか面白い話ない?』
「そうねぇ…じゃあ、月子と陽子のお話をしよう。」
『つきこ?陽子ちゃんなら知ってる!京子婆ちゃんのお母さんでしょ。』
「よく覚えてたね。それじゃあ話すよ…」









昔昔陽子母さん…いや、陽子の他に月子もいたんだ。陽子と月子は双子でね、陽子は名前通り陽気でみんなといつも遊んでたらしい。そして月子は自分の部屋で勉強や本を読んだりしていた。そんな双子の2人は不思議な体験をしたんだよ。

陽子はサッカーボールが森に入って、それを取ろうとしたのがのがきっかけで
月子は図鑑で森を見つけて、家を出て森に入ろうとしたのがきっかけだった。

陽子はサッカーボールを手に取った瞬間大きな池がある場所に。
月子も森に入ると大きな陽子と同じ池がある場所に着いたんだ。
その池は自分の心を表してくれる不思議な池でね、
陽子は澄んだ透明な池だったらしいんだが、月子は澱んで濁った池だったという。
これは陽子の性格に劣等感を覚えた月子の気持ちだった。
月子は陽子と違ってみんなと仲良くなれないし、本以外の趣味が無い。だから何時でも楽しそうに遊んだり喋ったりする陽子に嫉妬したんだ。
この池の不思議な体験から月子は自分の気持ちを知り、もっと嫉妬深くなった。
それが行動にも出てきて、ことある事に陽子につっかかっていたんだ。
それがもっとエスカレートして陽子の物を盗って捨てたり、落書きして使えなくしたり…時には月子が陽子を突っかからせて転んだ時もあった。
そうしていた時また月子と陽子の前に大きな池があったんだ。
陽子は前と違って少し悲しい水色と青色が混ざって、濁っていた。
月子はもう真っ黒で、ゴミも浮かんでしまっていた。
それを見た月子は陽子の悲しみの色を見て、

「まだ綺麗でしょ?私まだ満足してないから」

そう恐ろしい言葉を残して陽子より足早に去っていった。
陽子は怖くて怖くてもう家から出なくなった。
月子は陽子に似た容姿を使って陽子に成り代わった。
そして陽子はもう限界だったんだろう
18の誕生日に月子のベッドに横たわって死んでしまった。
遺書には
“私は月子じゃない”
とだけ赤子を置いて書かれていた。

そのひと月後に陽子に成り代わった月子はまた池にであった。
その池では濁っていたものとは考えられぬくらい真っ赤に染まっていた。

「嗚呼…綺麗綺麗。陽子の色だ…」

月子は綺麗な赤色に恋をしながら眠りについた。
月子は夢を見た。
陽子が

「ごめんね。私が全部悪かった。いつも貴方に寄り添えなくてごめんね」

と言って涙を流す夢だった。
その柔らかくて優しい光と言葉に月子は魅了されてしまった。
次の日起きると月子はひとつひとつポツリと呟いた。

「ま…るで…た…よ…うだ…った……ま…る…で……いよ…った…」

その異様さにみんなは恐怖を覚えた。
まるで陽子に取り憑かれたかのようにずっとブツブツ言い続けていた。



まるで太陽のようだったと…








『!?…じゃ、じゃあ京子婆ちゃんは死んだ陽子さんの子供だったの?』
「嗚呼…お父さんはいなかったみたいだけど、ベッドに陽子母さんと一緒に居たと…」
『月子さん…悲しい人。』
「昔は頭も良くていい子だったんだがね…。」
『月子さんって死んでないんでしょう?』
「……いいや。首括って死んじまった。」
『そんな……』
「陽子の恨みに触れたんだろう。太陽の力に取り憑かれたんだ…」
『怖いね。太陽って明るいものだと思ってたけど、時には人を恨むんだ…』
「お前もきぃつけね」
『うん。ありがとう。』
















キィィィキィィィキィィィ
「口惜しや口惜しや…陽子陽子…」

何故私が恨まれなければイケナイ?
前世の記憶の呪いで…呪いだけで……太陽め…嗚呼…口惜しや…
もう一度やり直させておくれ…

8/6/2024, 1:59:22 PM