霜月 朔(創作)

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明日世界が終わるなら


罪悪感に雁字搦めになって、
まるで寝付けない、夜中。
寝床から這い出し、外に出る。 
今夜は厚い雲が空を覆い、
月も星も、その姿を隠していた。

だが、月も星も見えない夜に、
私は心の何処かでほっとした。
月の灯りも、星の煌めきも、
こんな私には、余りに眩し過ぎるから。

そんな、星も月も姿を隠す夜の闇が、
私の罪や愚かさや後悔や醜さも、
覆い隠してはくれないだろうか。
そんな自分勝手な事を思う自分に、
呆れ果て、深い溜息を吐く。

明日など、来なければ良いのに。
眠れぬ夜が訪れる度に、そう思う。
もし、明日世界が終わるなら、
今夜だけは、
この、過去からの罪悪感からも、
今日の絶望感からも、明日への焦燥からも、
全ての苦痛から目を背けて、
眠りに就く事が出来るだろうに。

だが。
もし、本当に、
明日世界が終わるなら。
その時は、彼奴に一言だけ伝えたい。
…私と出逢ってくれて、有難う。
と。



5/6/2024, 4:03:16 PM