「出来たぞ!遂に完成じゃ!」
博士はそう言って、バンザイした。
博士の前にはピカピカと輝く一台の人型ロボットがある。
「これは私の生涯で最高の発明だ。こいつがあれば遂に平和な世界をつくることができる。」
完成したのは、自律型治安維持ロボット
「名付けて、『愛と平和』じゃな」
「婆さん、これでくだらない人々の争いはなくなるぞ。見ていてくれ。」
博士は妻の写真に向かって言った。
「お前が、デモに巻き込まれて死んでしまってから、ずっと考えていた。どうにかして戦争や暴動をなくせないかと…。」
博士は妻の写真を手に取り、椅子に腰掛ける。写真を撫でながら語りかける。
「人々の気持ちが変わればいいと思っていた。だが、それは難しいことのようだ。食糧やエネルギーの奪い合いで、今じゃ毎日どこかで戦争しておる。」
窓の外では警報音が鳴り響いてる。
「みんながみんな、自分は悪くないと思い込んでおるんじゃ…。だから仲裁に入る存在が必要じゃ。かつて婆さんが、争いは辞めようと呼びかけたように…。」
「じゃが、人は弱い。銃弾1発で命を落としてしまう。だからワシはこいつを作った。」
博士はロボットの前に近づいていく。
「すごいぞ、こいつは。暴動があれば時速200kmで駆けつける。
お前のように、仲裁に入って攻撃されてしまっても、超合金のボディは弾丸も跳ね返す。そして腕には超高性能の荷電粒子砲をつけた。たとえ相手がどんな抵抗をしても、一瞬で終わりだ。」
博士は天を仰ぐ。
「醜く争う人間が全ていなくなれば、愛と平和に満ちた世界になる。婆さん待っていてくれ。」
そう言うと、博士はロボットの起動スイッチを押した。
窓の外では爆撃音が鳴っている。
3/11/2023, 10:02:51 AM