そこら辺のぶっとい木にぶら下がってミンミンミンミンミンミンミンミン歌ってるのが俺らの一年ていうか一週、或いは一生。そんな風に思われちゃ困るなあ。確かに俺らが君たちの前で夏の風物詩にされるのはたった一週間かもしれない。けれど君たちは土地や家柄や収入に関わらず絶えずアンダーグラウンドを見つめなければいけない。その対象は何も蝉に限った話ではないんだ。いややめておこう。説教臭いのは好みじゃない。ただ俺は土の下で静かに夢を見ている仲間のことを忘れてほしくなかっただけなんだ。だって17年だぜ。17年。ずっと土の下で夢を見てたんだ。死んでいった奴らも数え切れない。それでもやっぱり今年の夏のためにずっと我慢し続けていたんだ。少し位は主張してもいいだろ。一生の98%を準備に費やした俺の話だ。少し位はね。まあいいや、ともかく今年は本当に良い年だったよ。仲間たちと歌った時間。太陽光線、突然降ってきた夕立。忘れないだろうなあ。それじゃあまた17年後。その時は俺の子供がまた世話になる。
一年を振り返る
ジュウシチネンゼミは木に定住しないかも。
12/30/2022, 11:25:09 AM