ただぼんやりと眠い。
風が窓へ体当する。その度に、ぐらぐら床が、ゆれる。我が家は古い。
サナギから出る蝶のように、ゆっくりと起き上がる。
白くかすんだ視界をシパシパさせ、背中を丸めた。
毛布が、だんだん胸から剥がれ、足へ落ちた。
パサリと音を立てる。
詰まった鼻をピーピー鳴らしながら、毛布を見下ろす。
だらしない胡座へ、毛布が絡まっている。
緑色で、毛玉が表面にいくつもある。
脱力していた腕へ、なんとかガソリンをいれて、毛布を撫でた。
手のひらを過ぎ去っていく感触は、ひどい。
ほとんどひび割れた土だ。
乾いていて、ゴワゴワしていて、シワだらけで、暖かい。
うーん。まだ眠い。
足を組み替え、体育座りをした。そのあとすぐに、毛布を足ごと抱きこんだ。
夜に蓄えた毛布の温度を、ギュンギュン吸い取る。息をつく。
すこしして、体を剥がした。一息に立ち上がる。
二本の足で、しっかり立っていた。しかしすぐ、膝からガックリ崩れ落ちる。
眠い。毛布は今や、頬の下にあった。
まぶたが意思に逆らい始めた。眠たくなると、機に嫌が悪くなるなんて、幼児じゃないんだから。
ついに、目の玉はカーテンを閉められた。健闘はした。しかし、眠い。
脳みそが空を飛んでいる。
なににも集中できない……おやすみなさい。
2/7/2025, 7:13:11 AM