『世界の終わりに君と』
眼下に広がる地獄絵図を見ながら、大きなため息を吐く。
呆気なく終わって行く世界は、これ程までにつまらないものだったのか。
「何してるの?」
ふわりと隣に寄って来たきみに、思わず笑みがこぼれる。
「思っていたよりも、つまらなかったよ」
「あら、こんなに素敵な景色なのに?」
くすくすと楽しそうに笑うきみが、とても愛おしい。
「僕と、一曲踊っていただけますか?」
手を差し伸べれば、きみは嬉しそうに僕の手を取ってくれた。
「もちろん。曲が終わるまで、踊りましょう」
人々の断末魔の叫びを聞きながら、僕たちは、世界の真ん中で踊り続けた。
6/7/2024, 11:49:34 AM