ゆかぽんたす

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無意識にキミの番号をタップしていた。
『もしもし?』
コール3回目でキミが出た。それだけでこんなにも安心するなんて。思っていた以上に僕は疲れていたらしい。
「やぁ。こんばんは」
『どしたのこんな時間に』
ていうかこんばんは、って。そう言いながら電話の向こうでくすくす笑うキミ。あぁ、落ち着く。その証拠に長い長い溜息が出た。
『……ほんとに、どしたの?なんかあった?』
「あった、のかな。良くわかんないな」
『なぁに、それ』
こんな非常識な時間にかけても怒るような人じゃない。それが分かってて電話するなんて僕は狡い男だよね。でもどうにも耐えられそうになかったんだ。そろそろ心が限界だった。だからキミの声をどうしても聞きたくて。
「ごめんね。眠かったでしょ」
『んーん、別に平気だよ?なんか寝れなくてTV見てた』
「そうなの?めずらしいね」
『そろそろ、電話が来る頃かなぁって思ってたからね』
「……僕から?」
『うん』
キミはすごいな。もう、声だけじゃなくて今すぐ会いたいよ。そんな困らせるようなことさえ今なら言ってしまいそう。それくらい弱っていたのだと改めて思い知る。
『完全な人間なんていないんだから。寂しい時は寂しいって言っていいんだよ』
その言葉がすとんと僕の心に落ちてきて。すごくすごく満たされる気持ちになった。キミの前では不完全な僕でいていいのだ。それが分かって、ようやく僕は笑えた。

キミがいつも僕のそばにいる。たとえ離れていたって、心はいつも、僕のそばに。

8/31/2023, 1:16:18 PM