眠りにつく前に
あなたは眠りにつく前になにを思っているのだろうか。
外側の私が読み取るのはもうだいぶ難しい。そもそもわかっていたときなんてなかったのかもしれない。
危ないからやめてと言っても山を歩いていた足も、今は掛け布団の下から出てくることはない。
少し面倒だと思ってしまうほど回る口は、話が喉に詰まってしまって閉じられてしまう。私はあまり話すのが得意でないから、以前みたいにお喋りができない。
話しかければ反応してくれる。テレビをつければ内容を軽く理解しているようにも見える。軽く手を叩けば叩き返してくれる。
けれど数時間前のことを思い出すのは難しいらしい。頭の中に発生する靄が記憶に絡まって繋ぎ目がばらばらになってしまうだろうか。いつか私の顔もその靄に包まれてしまう日が来るのだろうか。
いつまでも、いつまでも元気なのだと思っていた。私が何歳になってもずっとそこに居てくれる人だと思っていた。
私は今でも細くなってしまったあなたを受け入れられていない。
数年後には山を歩いて畑を耕し、あのときは大変だったと私に話して聞かせるのだと、どこかで疑いもなく信じている。
振り返れば後悔ばかりが降り積もっている。私はずっと良い人間じゃなかった。
あなたが私を会うと喜んでくれているように見えることだけが救いです。
どうか、どうかあなたが眠りにつく日がずっとずっと遠くの先でありますように。
あなたの夢が目覚めている間に叶いますように。
幸せな夢が見られますように。
11/3/2024, 5:19:55 PM