ハイゼ

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学校から出される宿題で、答えがないものは特に憂鬱だ。今しがた教師からもらったプリントと睨めっこをしつつ大きなため息を吐いた。

「あなた、そういうの苦手だもんね?」

いつの間にか前の席に腰掛けていた幼馴染が俺の手にあるプリントを覗き込んできた。
そういうお前はどうなんだと不満を込めた目でそちらを見やると彼女はにこにこしながら言葉を紡ぎ始めた。

「自分の好きな物でしょう?花が好き。図書館も好き。あんみつが好き…それにあなたも好き。」

急に出てきた自分の事に目を丸くすると彼女は少し意地悪な顔をしてわらった。
…確かに、人でもいいのか。目の前でくふくふと笑う幼馴染を見て俺も自身の指を折る。

その澄んだ声が好きだ。しっかりしているのに割と面倒くさがりな所も好きだ。俺を揶揄う時に出る笑い声が好きだ。それと…
次の音は発されることなく彼女の両手に留まる。

「…も……わかった……から。」

それと、照れると耳まで赤くなるお前が好きだ。

1/29/2023, 1:38:19 PM