心臓がバクバクとうるさくて、目の前にいる職員さんの説明が聞こえないよ。
そんな思いが聞こえたのか、隣で同じ説明を聞いてる彼が私の手をキュッと握ってくれる。
それで意識が戻り、彼を見つめるとふわりと優しい笑顔をくれた。
「あの、大丈夫でしょうか?」
説明してくれていた職員さんが不安そうに私たちを見つめる。
「あ、すみません。大丈夫です、続けてください」
「すみません」
彼が職員さんを促すと、同意するように謝罪した。
彼の手が包んでくれる指先があたたかくて、また緊張しそうだけれど。でも職員さんの話をしっかり聞いた。
職員さんとの対応が終わり、書類を提出してからふたりで役所を出る。
私と彼の指にはお揃いのプラチナリングが輝いていた。
「これから、よろしくね。奥さん」
「はい、よろしくお願いします。旦那さん!」
おわり
五五三、見えない未来へ
11/20/2025, 12:40:21 PM