テーマ…君は今 《ゆるりと小道を 1 》
進学と共に上京した。
最初は地元を離れてばかりで寂しい時も沢山あったし、いきなり1人になるのはトラブルが多くて多忙な日々が続いていた。それでも新しい環境は新鮮なものが多かったし、友達も増えた。最近はバイト代を貯めながら程よくショッピングを楽しんだり、サークルの飲み会に参加できるほどにはなった。
そんな日々にも慣れてきて、バイト終わりの深夜の帰り道にLINEの通知音がなった。きっともうすぐ行われる定期飲み会の連絡だと思って家に着くまで既読を付けなかった。
「はぁ〜。バイト疲れたぁ」とため息をこぼす。拾ってくれる人はいない。虚無の時間がただ流れていく。
10分くらいダラダラしたあと起き上がらずにスマホを取る。さっきのLINEを見るためだ。
【みさ・ 久しぶり。起こしちゃったらごめんね。】
「ん?」誰だろう。【みさ】という名前。寝ぼけて頭が働かない。誰だろう。そのみさという人の顔が出てきたのはその3秒後くらいだった。
みさは地元の友達だ。いや、親友と言っていい。なぜ仲良くなったかは分からない。ただ笑いのツボがめちゃくちゃ合っていた。ずっと一緒という訳でなく程よい距離感を保てていた。
【りさ・ 起きてるから大丈夫だよ。】
すぐに既読が着いた。今何をしてるんだろう?
【みさ・ よかった!今度東京行こうと思ってるの。】
【りさ・どうして?】
【みさ・ 小旅行みたいな?もしよかったら久しぶりに遊ばない?】
少し考える。高校生の時どんなふうに遊んでたっけ。
【りさ・いいよ。どこに行く?】
【みさ・うーん、、、】
【みさ・りさの近くの大学のカフェにしよ】
【みさ・もしオススメあったら教えて欲しいな】
【りさ・d(ゝω・´○)OK】
【りさ・(*˘︶˘*)オヤスミナサイ.。.:*】
【みさ・ヾ(*´・ω・`*)おやすみなさぁ~ぃ】
業務的にこなしていたような気がする。ぼーっとしていたら寝ていた。
ーー1週間後、私の大学の近くのRusKというカフェで待ち合わせた。
「りさ!お待たせ」
そう言ってかけてきたみさは高校生の頃とあまり変わっていなかった。
最初は緊張したが、思い出話を持ってくると意外にも話が続いた。楽しかったなぁ。そのあとは店を変えて、最終的には居酒屋で解散となった。少し酔いも回っていたのだろう。私はみさにこんなことを聞いた。
「びっくりしたよぉ〜。いきなり連絡してくるから。でも今日は楽しかったからまたのもぉーね」
みさは少しだけ深刻な顔をして言った。
「最近ちょっと疲れちゃってさ、、、ほら、大学って飲み会多いし、生活費稼ぐのもしんどいから。久しぶりに羽を伸ばせたらなって、こんな楽しいとは思わなかったけどね。」
少しだけ静まった。私は「次は私から誘うよ。だから地元のいい店探しといてよね。」と。みさは優しくうなずいた。その日は解散となった。
ーーみさはその2日後に地元に帰ったらしい。小旅行の写真を送ってきた。
みさと会ってから1週間経つ。まだあの楽しさは忘れられない。大学に行くバスに揺られながらみさは今何をしているのだろうと思いを馳せた。
2/26/2024, 1:37:04 PM