わずかに見える星を見上げ、ひとり歩く夜の道。耳元であなたがほしいと奏でるピアノを聴いている。大声で歌う少女たちとすれ違う。誰かが暗がりで話している、その声は聞こえない。車が、部屋の明かりが、街灯が、夜を照らす。坂の上から見下ろす明かりのひとつひとつを知れたなら誰かが演奏を始めてもおかしくない。今は耳元に収まってしまっているこの音色が、夜に溢れだす。そんな夜にまた歩きたい。
3/15/2023, 3:13:11 PM