【風のいたずら】
毎日寒い。
雪が降ったから尚更。
それでも外に出なくては行けなくて。
何のいいことがあるのかと毎日思う。
そんな時風か私の目の前を掠めた。
その寒さで思わず目を閉じた。
あっ、そう思ったときには遅かった。
転ぶ!とそう覚悟していたのに。
その痛みは何時まで経っても訪れなかった。
ぎゅっと閉じた目を開いてみる。
「大丈夫ですか?」
「えっ、」
頭上で声がして見上げると青年の顔が。
一瞬の出来事で頭の整理が追い付かず私はフリーズしてしまう。
「何処か痛いところは?」
「…い、いいえっ!」
「そう。なら、俺は行きます。滑るから気を付けて。じゃあ」
それだけ言い残し青年は颯爽とこの場を離れていく。
しばらく私は呆けたまま、あっ!と。
「…お礼、ちゃんと言ってない」
また、会えるかしら。
その時は改めてお礼を言おう。
こんな出逢いがあるなら、冬の寒さも少しだけ我慢できるかな?
1/17/2025, 10:00:36 AM